第10章 ようこそ!淫魔の癒しのマッサージ店へ…** 前編 裏なし
「んっ…、んっ…」
声が…自分の口から…漏れそうなのを
いろはが自分の手で口を塞いで…
漏らさない様に抑え込もうとするも
『…いろは…』
その胸と脇との間の辺りの
マッサージなのか愛撫なのか…
そのどっちとも取れそうなその手の動きを
ぴたっと…ミナトが止めてしまって
「………??」
さっきまでの時折優しくしながらも
強引な感じに…事を進めてしまうのかと
こっち…も…身構えてしまっていた手前
その行動に…違和感を憶えて
ぎゅっと…閉じてしまっていた瞼を開くと
上から…こちらを静かに見下ろしている
ミナトと…視線がぶつかってしまう
ジィ―――っと ミナトに
正面から見つめられてしまって
はぁ~~~~ぁッ と
深い深いため息を
ミナトが自分の額を
自分の手で押さえながらついて
自分は…無意識の内に
何か…彼に幻滅させてしまう様な事を
やらかしてしまったのだろうかと
目の前のその彼の呆れた様子に
いろはは
最後に付き合っていたあの彼に
目の前のミナトの様子を重ねてしまって
内心ハラハラしてしまって居たのだが
『残念だけど…、時間切れ…かな?
俺には俺なりに、
淫魔としてプライドもあるからさ。
まぁ、悔しいには、悔しいけど…。
この感じだと、俺の負け…みたいだし…?
いろはちゃんには…、
ちゃんと、俺にもお店にも、
”お金”…、払って貰っちゃってるからさ。
ちゃんと…、俺も淫魔のミナトとしてじゃなくて
”セラピスト”のミナトとして、
いろはちゃんが俺に払ってくれた分の、
その金額に見合っただけの”お仕事”させて貰うよ』
”その金額に見合っただけのお仕事”
…と 言う言葉がミナトの口から出て来て