第10章 ようこそ!淫魔の癒しのマッサージ店へ…** 前編 裏なし
そういいってグイっと自分のグラスを
ミナトが空にしたので
自分もお代わりをするから
遠慮しなくて良いよと言われて
「……じゃあ、遠慮…なく、
お代わり…頂きます…」
『そう…、良かった。
すいません、もう一杯。俺と彼女に
同じ物を…お願いしてもいい?』
『はい…同じ物を…ですね?畏まりました』
そう言って ミナトの注文を
バーカウンターの向こうの
バーテンダーが復唱して
バーカウンター越しに…ミナトと
バーテンダーの視線が絡むと
ほんの…僅かに…一瞬だけ…
視線だけを…ミナトが…いろはの方へ向けて
そのミナトの目配せの意味を…
バーテンダーが汲んだ様にして…目を伏せた
『どうぞ…、お待たせしました。
スクリュードライバーにございます…。
時に…、お客様は…
カクテル言葉…と言うのは…
ご存じでございますか?』
そうこちらに問いかけて来る
バーテンダーの言葉に
いろはがキョトンとしていて
花言葉がある様にして
カクテルにもカクテル言葉があるのだと
そのバーテンダーが言って来て
カクテルに関する雑学の話を
バーテンダーがこちらにして来たのだが
「あの…、じゃあ…この…
スクリュードライバーのカクテル言葉って
一体…、どんな言葉…なんですか?」
『そちらの…貴方様が…、
お飲みになっておられます。
スクリュードライバーのカクテル言葉は…』
そこまで バーテンダーが言うと
その言葉の続きは
バーテンダーの口から…ではなくて
自分の隣に立っているミナトの口から紡がれて
『……”貴方に…心を奪われた”…』
「………っ…!!?」
ここ一番のキメボイス…で…
キザな…台詞を ミナトに言われてしまって
これではどっちが
心を奪われる方なのか…すらも
分からなくなってしまって混乱してしまう