第10章 ようこそ!淫魔の癒しのマッサージ店へ…** 前編 裏なし
『ここさ、何にもなくてさ。
ベンチしか無い公園なんだけど…』
言葉の通り何もない小さな公園は
こじんまりとした
展望スペースと呼べるほどでもない
ちょっとした場所があるだけの場所で
ベンチが…等間隔に3つ
配置されているだけの
公園と呼べるのかすらも怪しい
「本当にベンチしかない…ですね…」
『作らない方が…
いいんじゃないって感じのさ、
何も無い公園…なんだけどさ…。
仕事が上手く行かない時とかさ、
ここに来てさ、ひとりで夜景を
ポケェ―――っとしながら観る訳。
ここからさ、夜景見ると、
自分の悩んでる事とかさ
ここから見下ろす灯りの数だけ、
沢山の人間が居るんだったら
どうでもいいか~てなって来るしね』
「そうなんですね…、でも…、綺麗…です。
こんな風に、デートらしいデートって
したの…凄い…久しぶりなんで…、新鮮で」
『まだ時間あるから、
デートらしいデート…、もっとするでしょ?』
そう言われて…
ここに着いたのさっきな気がするけど
また…手を引いてエスコートされてしまって
車に乗り込むと…今度は山を下って行って
そのまま…20分程で
…車は…山の上から今度は
海の向こうへと伸びる
ライトアップされた
橋が見える海沿いの公園に来ていた
『あっこまで、行く時間ない時は、
こっち来るんだけどね?
ここから、橋…ぼんやりとして、眺めてる…。
山もいいけど、海も良いよね?
こうしてるとさ、30分に1回、
色が変わるんだよねぇ~ライトアップのさ』
そう言っている端から 橋のライトが
一色だったライトアップがレインボーカラーに
移り変わって行って
…色が…変わって行くのが見える