第2章 魔法のステッキとイケメン執事
ぐるぐると卑猥なステッキのカーソルを
画面の中でいろはが回すと
メリーさんもちょっと目を回して居て
「メリーさん、ちょっと可愛過ぎん?
メリーさんだけで、遊べちゃう…し」
そのリアクションを見てるだけでも
もう500円分ぐらいは取り返した気分に
いろははなってしまっていて
満足しつつあったのだけれども
「凄~い、これいいかも。
全然1000円のオモチャの
専用アプリにしては…、
凝ってるし、お買い得感あるー…」
待機状態のままで操作をせずに
放置していると『如何なさいましたか?』と
メリーさんが不思議そうに
こちらを見ながら小首を傾げたりしている
用事がある時は左上の羊の形をした
アイコンをタップ…だったよね…
ピッとアイコンをタップして
『はい、お呼びでございましょうか?姫様』
音声入力に対応しているらしく
LINEの様な文字入力でも
メリーさんと会話出来るし
自分の音声でも
コミュニケーションが取れる様で
何を聞こうかとこっちが思案していると
『もしや…私と……、と、
姫様は密に、ご期待でありましたか?
そんなチュートリアルがご希望…でしたか?
私…、メリーはあくまでも、…こちらの
案内人…、ナビゲーターに過ぎませんから、
残念ながら…、このアプリにはシステムとして
組み込まれておりませんので。
私とは…お楽しみは…して、頂けませんが…』
こっちがメリーさんにその質問をする前に
このイケメンに羊の角が生えた
羊の執事ことメリーさんとの
えっちなストーリーを期待してた私は
メリーさんに情け容赦もなく
事務的な言い方にて その期待は
一刀両断に切り捨てられてしまった