第9章 スライムと世界樹
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『お帰りなさいませ…、姫様』
天蓋付きのベッドの上で目を醒ますと
いろはの視界には…こちらを
上から覗き込んでいる…メリーの顔が見えて
ぼんやりと…ぼやけていた意識と
視界がクリアになって来る
「めっ、めめ、メリ――!!??」
思わず 慌ててガバッと
いろはがベッドから上半身を起こす
バサッと音を立てて
自分の身体に掛かっていた掛け布団を
乱暴にいろはが掴んで
勢いまかせに剥がすとその下を確かめる
『如何、なさりましたか?姫様?』
「如何もなんにもっ、無いよッ。
ねぇ、メリー。
ステラは?ステラはどこに行ったの?
って…身体…っ、綺麗……だ…し、
粘液…で、ヌルヌルじゃない…、何で?」
いろはが自分の身体を確かめるも
身体はさっきまで 粘液でどこもかしこも
ズルズルのヌルンヌルンだったはずなのに
それも何事も無かったかの様に
私の身体は汗のひとつも掻いて無くて
自分の身体はサラサラとして綺麗な物だった
身体が汚れて居なかっただけでなくて
きちんとベッドに入った時に着ていた
あのラベンダーカラーの
お姫様のナイトドレスも
きちんと寝乱れる事も無く
綺麗に纏ったままだった
まるで何もかもが…無かった事かの様に
時間でも…巻き戻ったかの様にも感じる
あくまで…感じるのは…
表だった…表面的な部分だけ…だけど