第4章 【片想いの小さな恋】
~1か月後~
「うん、随分やり方も上手になってきたね!
時間もあんまりかからなくなってきたんじゃない?」
「あ、そうなんです! 解ける問題と解けない問題の
仕分けがパパッとできるようになって、
だいぶ時間かからなくなりました。」
「うん、いい調子、いい調子!
今日の勉強はさっきやった
2問の解説だけで大丈夫だった?」
「あ、はい!」
「じゃあ…勉強以外のことは今週は大丈夫?」
「あ、えっと……、」
解説が終わったあとのお悩み相談が
恒例みたいになっているこの勉強会。
「この間、雑誌で毎年恒例のJr.大賞
っていうのがあったんです。ファンの子の投票で
順位が決まるやつなんですけど…。」
「うんうん。」
「1位は岩橋玄樹君っていう…今は分かれて
活動してますけど、去年一緒にイベントやった
プリンスっていうグループのひとで、
2位が廉、3位が紫耀で…
で、僕はどうだったかっていうと11位で。
一緒にやってるのに10位にも入れてなくて。
なんなら、4位と5位も岩橋君と同じグループの
2人だから、この凄い人たちの中に僕が混ざるのって
場違いなんじゃないか…とすら思えてきて。。。」
……やっべぇ…。
自分で言ってて落ち込んできたわ…。
勢いに任せて口を滑らしちゃったけど
こんなん、言われても困るよな…。
けど、いつも話聞いてくれる廉に
言えることでもないし…。
『先生、困らせてごめん。』と心の中で平謝り。
「……そっかぁ。。。」
「ジャニーズに入る前は確かにあったんです。
自信が。でも、今はあんまり持てなくて…。
自分が1番後輩で、メンバーにはファンがたくさん
ついていて、会場はほぼほぼ赤と青のペンラで。
埋もれてしまわないように僕のファンの子は
黄色のペンラを目立つようにすごく大きく
振ってくれたりしてて…。」
「そっかぁ…。じゃあ髙橋君も、
髙橋君のファンの子も、すごくラッキーだね!」
そういう考え方はしたことがなかったから、
素直に、驚いた。
「……ラッキー?」
「だって、あとはもう上に上がるだけでしょ?
そんなメンバーが近くにいて、切磋琢磨できる
っていうこと自体すごく恵まれた環境だと思うし、
髙橋君は向上心の塊なんだからこれから絶対に
上に上がっていってくれるじゃない?」