第3章 【生活(仮)】
リビングに戻って莉菜の用意してくれた
朝食で空腹を満たす。
ここにはもうおらんのに
キミを感じることができる幸せを感じながら
ソファに横になって穏やかな休日をかみしめる。
“大丈夫? 二度寝してない?笑”
莉菜からのメッセージで
まどろみの世界から引き戻される。
“寝とらんよ笑”
“そか笑 そろそろ準備して出た方がいいかも。
気を付けて行ってきてね!”
そんなメッセージを受け取って、
莉菜にはなんでもお見通しなんやなって
少しだけ、恥ずかしくなる。
けど、自分はひとりやないんやなって。
そう思わせてくれる人と生活を共にできる幸せに
顔を緩ませながら、出かける支度をした。
***
そんな幸せを感じとっても、
いざ美容室に着くとまた淀んだ気持ちがでてくる
しょーもない自分に喝を入れて、ドアを開ける。
「こんにちは! …ご予約ですか?」
「あ…、はい。
麻生で予約入ってると思うんですけど…。」
「あー! 麻生さんの!
お待ちしてました! こちらにどうぞ。」
「…はい。」
「今日はどんな感じにしましょうか?」
カウンセリングを受けながら相手を値踏みする。
これで平野先輩みたいなんが出てきたら
マジでどうしようか思っとったけど…苦笑
まぁ……顔とスタイルはオレの圧勝やな笑
なんて…
こんなこと考える自分ちっさいなぁ。。。
「でもほんと、
今日は来てくださってありがとうございました。」
「いや、こっちこそ助かりました。」
カウンセリングが終わって、髪を切られながら
鏡越しに話しかけられる。
「それにしても…彼氏さん、カッコいいですね!」
「いやいやそんなこと…」
あるけど笑
「麻生さんが心配になるのもわかるなぁ。笑」
「いやいや、そんなことないですって。
全然ヤキモチも妬かれませんし。」
「言えないひともいますからねぇ。苦笑
カッコよくて優しいから心配って
いつもおっしゃるので、一度お逢いしてみたくて。」
へぇ……?
莉菜そんなん言うてるんや…。
なんて、そんなことで嬉しくなる自分はほんま、
単純やなって思う。
思うけど…
嬉しいんはしゃーないやん。笑