第3章 【生活(仮)】
「もー…なんか髪伸びすぎて
どうもならん苦笑」
ご飯を2回もおかわりしてお風呂に向かった廉が
タオルで髪を拭きながらリビングに戻ってきた。
「うーん…それくらいの長さも私は好きだけど
確かに、最近セット大変そうだったもんね?」
「髪切り行きたい…
今から予約して明日行けたりする?」
「明日は日曜だから厳しいかもだけど…、
一応調べてみるね。」
「いつもありがとな。よろしくー。」
ソファに座っていた私の背中と
ソファの背もたれの隙間に滑り込んで
足を絡めてコアラみたいに抱き着いてくるカレ。
「…ちょっと、やりづらいな笑」
「だいじょぶ、だいじょぶ笑」
「ちょっ…こそばいw 止めてって笑」
あれ…
莉菜、ノーブラやん。
「…家ではいつでも触れるようにしててって
約束守ってくれてんの、かわいい笑」
「そういうの…恥ずかしいから
わざわざ言わないで。」
ってむくれる莉菜がかわいくて
ついついからかいたくなるのは仕方ないやん?笑
「あ…、廉がいつも行ってるところは
予約埋まっちゃってる。」
「……マジ?
じゃあ莉菜が行っとるところは?」
「ちょっと待ってね。
……あ、11時からの枠が空いてるみたい。」
「じゃあ、そこ予約しといて。」
「うん、わかった。
ちょっと遠いけど、大丈夫?」
「大丈夫。直前に頼んだオレが悪いし。」
ありがとう。
って背中越しに口付けるカレ。
「……ね、莉菜の美容師さんって
かわいい?w」
「ん? 男の人だよ。」
軽く莉菜をからかうつもりやったのに、
予想外の返答にうっかり動揺する。
「男の人……なん?」
「うん。」
自分でも矛盾しとるのはわかっとるけど、
別に莉菜が悪くもないのに、
悪びれない態度にイラついた。
「え……莉菜はさ、なんで遠いのに
わざわざその美容室行ってんの?」
「え…なんでって…。
私、髪の毛多いでしょ?
上手に梳いてくれる気が、してたんだけど…。」
「……そんなに上手なん?」
「わかんないけど、多分…。」
2人の間に
険悪なムードが漂う―――…。
「廉…、ごめん。やだった…?」
「は? 何が?笑
別に莉菜は何も悪いことしてないやん?」