第2章 【幸せがよく似合うひと】
「…んー! 疲れた体に沁みるわ!
麻生さんも飲んでみて。ウマいよ!」
食べようと下を向いてるのをいいことに
後れ毛を耳にかける麻生さんを見つめる。
「うん、ほんとだ! 美味しい!!」
ってキミが急に顔を上げるから
慌てちゃうじゃん?苦笑
「ん〜! 幸せ〜!!
神くんが教えてくれなかったら食べられなかったよ。
ありがとう!」
「ね、ふふっ。」
「でも、神くん甘いの食べても大丈夫なの?」
「うん、大丈夫だよ。何で?w
なんならバレンタインのチョコも大歓迎だよ!笑」
「え……だってほら、
空手でよく表彰されてたりしてるし。
甘いの食べちゃダメなのかなって。」
「全然、みんなと一緒だからw」
「そっかぁ。なんか神くんって何でもできるし、
カッコいいし、優しいし、周りがよく見えてるし、
余裕あるし…、もう、チート感ハンパなくて
同じ人間ですいませんってなるんだけど笑」
「何でよ笑」
そうやって笑うキミと
おだやかに過ごせたら……
って思ったのはいつからだろう。
キミは幸せがよく似合うひとだから。
キミに寄り添って
キミの笑顔を、キミの幸せを
ずっと守れたら。
そして、もしそんな日がきたら
それが俺の幸せになるんだろうなって。
そう思ったのはいつからだったかわからないけれど。
結構本気で思ってたりするんだ。
いつもよりゆっくりめに流し込んだつもりの
クリームソーダのグラスが空いて。
店員さんが2回も水を注ぎに来てくれたもんだから
なんだか申し訳なくなってきて
「……そろそろ帰ろっか?笑」
と喫茶店を後にした。
「…神くん、あの、ね。」
店を出た俺のTシャツの裾をひいて
呼び止める麻生さん。
こういうの、弱いんで…、ちょっと、。
なんて動揺しかけたけど、
自分に言い聞かせながらなんとか平静を保つ。
「……ん?」
「あの……。」
「あ、俺…今日時間あるから。
焦んないで大丈夫だよ。
麻生さんのタイミングでいいから、ね?」
もう、神くんってば
何でこう、、、
「あの、ね……私も、なの。」
「……えっ?」
「私もずっと……好き、だったの。」
「えっ? ……ほ、ほんと??」
と問い直す彼に
小さく頷くと―――…。