第2章 【幸せがよく似合うひと】
「…電車代と時間使わせてごめんね?
いくらだった?」
「いいって。いいって!
俺がそうしたくて勝手にしたんだから
気にしないでよ。…ね?」
「……神くん、優しすぎだよ笑」
それは麻生さんだからだけどね。
麻生さんのためだったら
俺の時間くらい、いくらだってあげたいし。
なんて心の中で思ったけど、
その言葉を彼女に届ける勇気はまだないから。
せめて今日この時間を
笑顔で過ごそう。
完全な俺のエゴだけど
キミも笑顔で過ごしてくれますように
と心の中で願う。
***
結構な量の買い出しだったけど、
予定の時間よりも早く終えることができた私たち。
「神くんが下調べしてくれてたから
すっごくスムーズに買い出しできたね!
しかも、神くんおもしろいの反則!笑
楽しくてめっちゃ笑っちゃったw
何から何までありがとう。」
「俺こそすっごい楽しかったよ!
ありがとう!」
そうやって品のある顔で微笑まれると
直視できないくらいまぶしくて、
思わず視線を逸らしてしまう…。
「神くん、モテるから…、買い出ししてるところを
学校の人に見られて誤解されたり迷惑かけたら
嫌だなっていう私のわがままを聞いて
わざわざ遠くまで付き合ってくれてありがとう。
それなのに私ってば迷って迷惑かけちゃうし、
ほんと、自己嫌悪…。」
「ふはっ! そんなの全然落ち込むことじゃないし笑
っていうか、別に…
見られても全然良かったんだけどね。俺は。」
「……えっ?」
「あ、そうだ! このあとまだ時間大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ!」
「この近くに麻生さんと行ってみたかった
クリームソーダのお店があって。
甘いの大丈夫だったら行かない?」
「あ、今日迷惑かけっぱなしだったから
私がおごる!!」
「いいって笑 俺が誘ってんだから、
俺におごらせてよ。」
「それは絶対にダメダメダメ!!!
迷惑かけたうえにそんなことまでしてもらったら
多分、今日夢でうなされるから!笑」
「なにそれ笑 うーん、じゃぁ、
お互いのために割り勘…?」
「割り勘でも申し訳ないくらいだけど!!」
「……麻生さんってがんこちゃんなの?笑」
「笑」
「なんか、今日いろんな麻生さん知れて
満足だわ、俺。笑」