第2章 【幸せがよく似合うひと】
“神くん、ごめんなさい。遅れそうです。”
文化祭の実行委員をしている俺に
一緒に買い出しに行くことになっていた
麻生さんからメッセージが届いた。
普段だったらダルくて仕方のない予定のハズなのに
麻生さんと休日の時間を
共有できることが嬉しくて、
こんな連絡でさえもニヤニヤしてしまう…。
マスクがなかったら確実に二度見案件…。苦笑
ありがとう、マスク生活…笑
“了解。連絡ありがとう。
でも、15分前だから俺もまだ着いてないよ笑
慌てないで大丈夫だからね。”
“ありがとう。”
“あ、もしあれだったら
カフェで待ってようかなって思うんだけど、
あとどれくらいで着きそうかわかる?”
“ごめんなさい、わからなくて。”
“……麻生さん、
もしかして…迷ってる?”
“…ホントにごめんね。迷ってます。
乗り換え駅には着いてるんだけど…。”
“わかった、迎えに行くから。
そこを動かないで待ってて。
そこから何が見えるか
メッセージ残しといてもらえると助かる。”
チケット売り場で彼女の待つ
乗り換え駅までの切符を購入してホームに向かう。
彼女を迎えに行くための電車を待ちながら
思わずふふっと笑みがこぼれる。
パッと見、しっかりしてそうなのに、
こういうところが可愛いんだよな、なんて。
俺がそばにいて支えてあげられたら…
そんなわがままを思い浮かべていると
彼女からメッセージが届いた。
“ごめんね、
どこが目印になるかわからなかったから…。”
そう一言添えたあと、
彼女がいるところから見えてる景色を映した
指が見切れてる写真が数枚送られてきた。
もう…いちいちかわいいの、何でよ笑
そんなに焦んなくても大丈夫だよ?
って心の中で微笑ましく思う。
“多分、場所わかった。
あと5分くらいで着くから。”
ホームへと下る階段を降りながら
服はどんな感じなんだろう?
髪はいつもと違ったりするのかな?
なんて、休日の彼女を想像しては胸が高鳴る。
「あっ! 神くん!!
迷惑かけて本当にごめんなさい…!」
俺を見つけた麻生さんは
タレ目な彼女によく似合う服装で
猫毛を束ねたポニーテールを揺らしながら
駆け寄ってきた。
「麻生さん! 会えてよかった~!」