第1章 1
「……泣かせてしまいましたね」
まじまじと見つめられ、お嬢様は恥ずかしくなった。
「私が勝手に泣いただけだから」
「いえ、私のせいです。大切なお嬢様を悲しませるなんて。お詫びをさせていただかなければ気がすみません」
お詫びなんて……と言いかけたお嬢様の耳に、川島が軽いキスを何度もしながら、耳たぶを軽く噛んでささやいた。
「ご奉仕させてください」
告白するような甘味を帯びた低い声が鼓膜に響いた。
返答を待たず、川島が再びキスを繰りかえす。
首筋に、鎖骨に、はだけられた胸元にと、キスの雨を降らせながら熱い唇が下りていく。
「ぁ…ちょっ、と待って……川島…今、するの?」
川島が顔もあげずに答えた。
「お嬢様はリラックスして星空をご覧になっていてください。ただ、気持ちよくなっていてくだされば……」
唇がどんどん遠ざかっていく。
大きな手が肌を撫でながら下の服を脱がしていく。
「川島!ダメ…だよ。汚いから……シャワーだけでも浴びさせて」
川島がやっと動きをとめ顔を上げた。
「オレの舌で、すみずみまでキレイにしてさしあげますから大丈夫ですよ」
なにかに浮かされたような声色で話す、その眼を見てお嬢様は固まった。
一枚うすい膜を張ったみたいな、ある種の興奮と期待に酔ったような眼だった。
「たくさん……ご奉仕いたしますね」
腰骨から腹部にかけてキスの雨が再開された。
たまに軽く舐めて吸われる。
「ん……!ぁ……あっ」
身体中に唇と吐息の熱を感じ、お嬢様の全身はすでに川島によって甘く痺れ溶かされていた。