第3章 お嬢様も楽じゃない
「ひなこ!」
ふと、声をかけられた。
「アインちゃん!!」
私は作ったものじゃなく、素の笑顔で振り返る。
この子は、お嬢様の私じゃなく、ありのままの私を知ってる、数少ない人の一人。
私の親友。
「相変わらず、凄い人気ね。転校初日で生徒会長に任命されるとか、普通じゃないわよ」
「だって~現・生徒会長直々に言われたんだよ。断れないじゃん」
自分でいうのもなんだけど、私はかなりハイスキルだと思う。
跡取りに相応しいように昔から頑張ってたらいつの間にか、大抵のことは出来るようになってた。
人望も厚い。
「そうだ!アインちゃん、あの件だけど……」
「あぁ、バスケ部設立の話?あれなら通ったわよ」
「本当!!?」
「えぇ…あんたの名前出したら一発。……いくら小・中・高一貫の学校だからって、人望厚すぎじゃない?」
途中からアインちゃんの話が入ってこない。
嬉しい……
学校でもバスケができるだなんて……
「それで、来週早速試合が決まってるんだけど………出る?」
アインちゃんが意地悪な笑みを浮かべる。
答えなんて聞かなくても知ってるくせに。
「もちろん!!」
そう言った私の瞳は、
きっとあの本気の瞳。