第4章 噂の女の子
Side~降旗~
それはある日の部室でのことだった。
「なぁ黒子、白波ひなこって知ってるか?」
火神が制服を脱ぎながら、黒子に声をかけたのは。
火神の口からでてきたのは、聞いたことの無い女の子の名前。
火神が黒子に女の子のことを尋ねるなんて……
珍しい出来事に興味を引かれ、ふと耳を傾ける。
突然、黒子が持っていたTシャツを落とした。
「…………か、火神くん。…今、何て言いました?」
らしくもなく動揺している黒子。
「あ?だから白波……」
「ひなこさんに会ったんですか!?」
次に黒子は火神の腕を掴んで、ガクガクと揺さぶった。
急にどうしたんだ?
今までにこんな黒子、見たことない。
これは、ほっておけないよな~♪
「何?その子って黒子の彼女かなんか?」
俺はニヤニヤしながら聞いた。
火神も気になるようで、黒子の言葉を待ってる。
「……いえ、ひなこさんとは一時期、一緒にバスケをしただけです」
その黒子の何気ない言葉が何故かひっかかった。
なんだ?
なんか、違和感。
「で、火神くん。会ったんですか、ひなこさんに」
「あぁ……昨日の夜、公園でバスケしてた」
火神がそう言うと黒子は
「帰って、来たんですね……」
嬉しそうに微笑んで、
「僕も会いたかったです」
次に子供のように頬を軽く膨らませた。
………………。
あれ、黒子ってこんなに表情豊だったっけ?
普段無表情で影の薄い黒子が、一人の女の子のことでこんなにも色んなリアクションを見せる。
ますます気になる、白波ひなこという子の存在。