第2章 放課後、小さな公園で
……… ダンッ ダンッ
静かだった公園に、再びボールの弾む音がこだまする。
対峙してみて改めて思った。
こいつ、小せぇ……
黒子をかなり小さな生物だと思ってたけど、
こいつ、黒子より20センチは小さいんじゃねーか!?
こんなんでバスケできんのかよ……
でも当の本人はそんなこと気にしてないように、
それよりもバスケが出来ることが嬉しそうに笑ってた。
「早くやろうよ!!」
笑顔のまま、俺を急かしてくる。
…こんなのさっさと終わらせてやる!
前に進み出そうと一歩踏み出した。
このままドリブルで突っ走って、ゴールにダンク。
そこまで頭ん中で想像出来てた。
なのに…………
「……!?」
気づくと、俺の手にはボールが無かった。
「ダメだなぁ~……完全に私のことなめてるもんね」
そんなことを呟いて、ボールをクルクル回す女。
何で…お前がそれを持ってんだよ……
それはさっきまで俺がゴールに決めようと、ドリブルしてたはずのボールだろ?
一体、何があった?
「あのさ」
髪をさらりとなびかせながら振り返った女の目は、冷たく冷えきっていた。
「女とか男とか関係ない。つまらない試合をするなら相手にもバスケにも失礼だよ。…………………帰って」
口から出てきたのは
さっきまでバスケをするのを楽しみにしていた奴とは
別人かと思えるほど
冷めた言葉。
「………っ!」
頬を冷や汗が流れた。
この女の言うことはイライラするけど、正しい。
油断は禁物だと、いつも黒子から口うるさく言われてんのに……
女はベンチに掛けてある上着を持ち上げ、帰ろうとしていた。
「待て!!」