第2章 放課後、小さな公園で
「わかった。その代わり、お前負けたら本当に譲れよ」
俺がそう言うと、パァっと顔を輝かせて
「うん!!」
心底嬉しそうに頷いた。
今日の現代文の授業で出てきた
“花が咲いたような笑顔”
という表現。
その時は意味不明だったが
今なら少しわかる。
きっと、こういう笑顔のことを言うんだなと思った。
ふーん。
生意気な言葉しか聞かなかったから、
(そんな素直になれんじゃねーか)
ちょっと意外だった。
まぁだからって、手加減する気はねぇーけど。
「あっ!」
突然思い出したように女が叫んだ。
「手加減とかハンデはいらないよ。私も手加減しないであげるから」
………………
この女の発言にはさっきから言葉を失う。
何だ、この上からな態度。
俺は怒りで顔をひきつらせながら、
「上等じゃねーか」
呟いた。
売られた喧嘩は買ってやる。
ただし、
倍返しだけどな?