第10章 閑話 : 黄瀬の思い出。
二年前
ちょうどその時 帝光中学の体育館は、改装工事のために数週間使えないことになっていた。
だから俺たちバスケ部レギュラーは新しい練習場所を探してたんスけど……。
「あ!ここッスよ!」
この間見っけた体育館へ俺が皆を案内することになったんス。
ランニングしてる途中で偶然見つけた場所。
今まで無かったから、たぶん最近建ったばかりだと思う。
「白波体育館?」
「そうっス!なかなか大きいくて綺麗な所でしょう」
俺は自分のことのように、胸を張った。
調子に乗るなって青峰っちに叩かれたっスけど。
………ひどくないっスか?
「確かに、いい所だね。学校からも近いし」
「そうと決まれば、貸してもらえるように交渉するのだよ」
でも、赤司っちも緑間っちも気に入ったみたいで、交渉するために早速中へ入っていった。
出来るなら、貸しきりがいい。
他にも何件か交渉してみたけど、何日も特定の団体に貸し出すことは出来ないと断られた。
歩き回ってもうヘトヘトっスよ……。
頼むからここで決まれ!と心の中で祈りながら俺も二人の後を追った。
中に入ってみると、予想していた通り……いや、予想以上に広くて綺麗な所だった。
自動販売機も数台あるし、ちょっとした売店やシャワールームも完備。
空調やトイレも整っているし、はっきり言って、なんスかこの快適すぎる空間って感じ。
キセキの皆も周りをキョロキョロと見回している。
「ね~見て。まいう棒がある」
「紫原、買い物は後にするのだよ」
「でもこの売店、妙に高級品の割合が多くないですか?」
「そうかぁ?どこもこんなもんだろ」
「はしゃぐのもいいが、まずは交渉が先だ」
物珍しそうに売店を覗く皆を赤司っちが宥め、俺たちは事務室を目指した。
…………んスけど。