第9章 いつだって真剣勝負でしょ!2
私はそのボールを受け取り、笑みを見せる。
「もちろん、受けて立つ!」
それからくるっと振り向いて、
「テツヤくんも参戦していーよ」
そう言うと、テツヤくんは驚いたような顔をした。
「だって、テツヤくんがいたほうが大我くんは強いし。そっちのほうが断然おもしろいでしょ?」
「お前、本当に変な女だな」
当たり前というように言ったら、大我くんに怪訝な視線を向けられた。
「男とか女とか関係ないよ。いつだって真剣勝負でしょ?」
これがバスケをする上での私のモットー。
相手が男でも女でも、現役の選手でも素人でも、常に本気で戦ってきた。
そんな私の理念が気に入ったのか、大我くんは
「上等……」
と、ニヒルな笑みを浮かべた。
「ひなこさん」
声のしたほうを見ると、テツヤくんがリストバンドをはめ直していた。
「やるからには本気で行きます。でもお二人の勝負の邪魔はなるべくしたくないので、ボクはパス回しに専念しますが、それでいいですか?」
普段の優しげな雰囲気のテツヤくんからは想像も出来ない、鋭い瞳に射抜かれそうになる。
あぁ…そんな目をするようになったんだね。
私はフッと目を細める。
嬉しい……。
熱く燃える闘志と緊張感がピリリと肌を刺激する。
この感覚だ。
どうしようもなく気分が高揚してしまう、表情筋がだらしなく緩んでしまう。
私が好きな空気。
その全身から、彼らの本気が溢れてる。
なら、私もちゃんと応えないと。
「全力で潰してあげるよ」