第2章 放課後、小さな公園で
ダンッ ………
ボールの弾む音が止む。
女はキョロキョロと辺りを見回してから、
「私……ですか?」
控えめに尋ねた。
白い肌に映える黒い瞳と
クローバーモチーフの髪止めが印象的だった。
一般的に言う美少女で、低身長ということもあってか、
バスケがなんだか似合わない、と思った。
「そうだ、お前」
「……何ですか?」
「ここ、俺に譲ってくれねーか」
単刀直入に言った。
女は一瞬、驚いたように目を見開いてから
フフっと笑うと、
「どーしよっかな~?」
楽しそうに、意地の悪い笑顔を
その綺麗な顔に浮かべた。
「は?」
「譲れって言われても、私だってバスケしたいし…そもそも、突然現れてそーいうの失礼じゃない?」
…………
その可憐な容姿と
儚い雰囲気から
どこぞのお嬢様と言われても疑わないだろう。
でも、口を開けば
…………ただの生意気な女だった。
「てめぇ……」
「でも、私に勝ったら譲ってあげないこともない」
そう言うとバスケットボールをスッと前につき出した。
「私と1on1しよう!!」
……………
呆れて声も出なかった。
冗談かとも思ったが、表情を見る限り
この女は本気で言ってる。