第8章 いつだって真剣勝負でしょ!
遠い目をしてそんなことを考えてから、みんなに視線を戻す。
「「……………」」
何故かその場にいる全員が私を凝視したまま固まっていた。
ついさっきまで熱く私の手を握っていたテツヤくんたちの監督さんも、手を離して至近距離でまじまじと見つめてきた。
私、何かした?
心当たりは無いけれど不安に襲われる。
ハッ!!
もしや、遠い目をしてたとき…
涎でも出てた!?
慌てて口回りをごしごしと擦る。
それとも、すっごい変顔になってたとか?
うわぁ……もしそうだったら恥ずかしい。
白波家を継ぐものとして、あるまじき失態だ。
あまりの恥ずかしさに頬に熱が集中するのがわかる。
「ひなこさん……」
私が手で顔を覆っていると、テツヤくんが
ふぅ と短い息を吐き出しながら
「突然 笑ったり、赤くなったりしないでください。心臓がもちません」
なんとも理不尽なことを言ってきた。
「え、ええっ!?私、笑っちゃダメなの?」
「いえ、そんなことは言ってませんけど……ただ、もう少し自覚してください」
「…………ナニを?」
「…黒子っち、ひなっちにそんなこと言っても通じないっスよ。自分のことになると、とことん疎いんスから」
「そもそも、何でここに呼んだんですか。これ以上ライバルが増えたらどうするんですか」
「そんなこと言って、黒子っちだって会いたかったくせに~」
テツヤくんと涼太くんが、私に聞こえないくらいの声量でなにか話してる。
私の存在は途中から除外されたらしい。