第8章 いつだって真剣勝負でしょ!
どどどどどどどうしよう!!
まさか、自分が方向音痴だったなんて…。
お金渡して場所聞く?
お金渡して案内してもらう?
でもな…今日カード持ってるから、現金は十万円しか持ってないよ………。
あ~、本当にどうしよう。
都合よく海常高校に行く予定の人現れないかな?
頭を抱え、しゃがみこんでいると
「どうかしたのか?」
頭上から声が聞こえた。
ばっと顔を上げると
「あ」
見たことのある顔がそこにあった。
「お、お前!?」
帰国してから知り合った、そこそこバスケの強い男の子。
確か名前は…
「大我くん!!」
こんなところで知り合いに会えるなんて、ついてる!
「大我くん、海常高校の場所わかる?」
「…これから行くけど」
神様は私を見捨てなかったらしい。
「あの、私も一緒に…」
「嫌だ」
「………………え?」
「なんで俺がてめーの案内なんかしなきゃといけねーんだよ」
もしかして、
「私に負けたこと、気にしてる?強くないって言われたこと、根に持ってる?」
「…っ、はぁ!?」
なるほど、やっぱりそうか。
「確かにね、私はハッキリ言い過ぎた。でもそれは、本当にその程度の実力だった大我くんが悪いのであって、私は事実を述べたまで…」
「…このクソアマっ、いい度胸じゃねーか」
あれ?更に怒らせた、かも。
「俺はあの時のことなんか、これっぽっちも気にしてねーし、負けたのだってお前のスタイルに驚いただけで、次やったら確実に勝てるし」
「……あのさ、もうそろそろ試合の時間になっちゃうけど。大我くん、選手じゃないの?」
「…………………やっべ!!」
こうして私は、
全力で走る大我くんの後を追いかけ
なんとか目的地に着くことが出来た。