第8章 いつだって真剣勝負でしょ!
・°*土曜日*°・
こんなに清々しい朝も珍しい。
バスケは室内スポーツだけど、やっぱり天気いいほうが気分も晴れやかだ。
昨日わざわざシルクのハンカチでてるてる坊主を作った甲斐がある。
私は運転手さんの申し出を断って、会場である海常高校(ダジャレじゃないよ)に歩いて向かってる。
こんな天気のいい日に車で行くのは、なんだかもったいない気がして。
~♪~♪~♪
ポケットの携帯が震えた。
「もしもし?」
「ひなっち!」
相手は涼太くんだった。
「あっ、涼太くん。今ね向かってるところ」
「歩いて来るなら言ってくれれば、迎えに行くのに」
練習といえど試合は試合。
選手である涼太くんはウォーミングアップをしないといけないだろう。
誘ってくれただけでも嬉しいのに、そこまで迷惑はかけられない。
「大丈夫だよ。地図見ながら進んでるし、時間にはちゃんと着くと思うから」
「そうじゃなくて…………………俺が迎えに行きたいだけなんっスけど」
「へ?なんか言った?」
最後のほう、小声でよく聞こえなかった。
「…いや、なんでもないっス!気を付けて来てくるんスよ」
「うん」
全く、心配性なんだから。
運転手さんにも大分引き留められたし…
私だって迷わずに着くことくらいできるもの!
そんなことを考えてたのが30分前。
まだ私は海常高校に着けないでいる。
………あ、れ?
おかしいおかしい
予定ではもう着いててもいいはずなのに。
まさか、
迷った…?
……………………
……だ、大丈夫!
携帯でナビを使えば問題は…
と、取り出した携帯の画面は真っ黒。
じ、充電切れ…………。
嘘、でしょ。