第7章 強くなんか、ないよ。
――――――――――
―――――――
小さい頃から英才教育を施され
白波家の跡取りになることだけを考えて生きていた中学一年生の私は、
今よりも数倍完璧なお嬢様だったと思う。
でも、自分で言うのもなんだけど
人間味が無かった。
その頃からみんなの羨望の的ではあったけど、
人望は無かった。
初対面のアインちゃんに
「お前はアンドロイドか」
って言われたほど。
ひたすら完璧を演じる私にとって、
自由気ままに
自分に嘘をつかずに生きるアインちゃんは、
凄く刺激的だった。
そんなアインちゃんが、ある日連れていってくれたところ。
「ひなこ、あんたバスケ見に行く?」
恥ずかしい話だけど、この時まで私はバスケの存在を知らなかった。
「………バスケ?」
「そう、どうせ家にいても勉強しかしないんでしょ。
どうせなら一緒にいかない?」
正直言うと、バスケなんてどうでも良かった。
ただ、友達とどこかへお出掛けすることがとても魅力的で
「行く!!」
そう叫んでいた。