第7章 強くなんか、ないよ。
私がそう答えると、涼太くんは嬉しそうに笑った。
子犬みたいな笑顔………
つられてこっちまで頬が緩む。
「そうだ!ひなっち、今度の土曜日ひまッスか?」
突然、思い出したかのように
涼太くんが切り出した。
「えぇ!?……ど、土曜日?……うん、多分何もなかったとおもうけど」
急な質問にしどろもどろになりながらも答えると、
涼太くんは
ガッツポーズしながら
「ヨッシャ!」
と呟いた。
「実は土曜日、黒子っちがいる誠凛高校と練習試合があるんスよ。ぜひ、ひなっちにも来てほしいッス」
「ほ、ほんとに?……行っていいの!?」
「もちろん!!」
あぁ~
ダメだな私。
バスケに出会ってから、いつもこうだ。
バスケが絡むと、いてもたってもいられなくなる。
ダメだって、思ってたのに。
きっと彼らと関わったら
決心が揺らいでしまう。
…………………
バスケを、
辞める決心が揺らいでしまう。
でも、考え方を改めよう。
残された時間が少ないからこそ、
今のうちに
目一杯バスケを楽しもう。
バスケを始めることを許してもらう代わりに
お父様と交わした約束。
約束の日まで
あと1年。