• テキストサイズ

アクロ★バティック!【黒子のバスケ】

第7章 強くなんか、ないよ。


でも、


「久しぶりっスね!!」

そう言って笑う涼太くんを見ると

思うように足は動かない。



あまりにも昔と変わっていない表情や声色に、うっかり泣きそうになった。





 変わらないんだね………


 こんなにも周りは変わってしまったのに。





その事実が嬉しくて、

今すぐにでも駆け寄りたくなる。





私はそんな感情をグッと堪え、下唇を噛み締めた。



「帰ったって本当だったんスね!!みんな会いたがってるっスよ」



「…………」


どこから私が帰国してることが漏れたんだろう?

そのことは、ルーベルマリアの人たちしか知らないはずなのに………。




「………ひなっち?」

何も言わない私を不信に思ったのか、涼太くんは首を傾げて見せた。




逃げないといけない。

突き放さなきゃいけないのに。




「……うん、久しぶり」

そう答えてしまう私。










いつだったか、彼らの中で一際影の薄い男の子――テツヤくんが言った。



「ひなこさんは強いですね」



それを聞いたとき、心の中で首を静かに横に振っていた。





 ちがうよ


 私は


 強くなんか、ない


 とっても弱いんだよ






嫌なことから逃げるばかり。

自分のために周りの人間傷付けて。




でも、白波家の人間は弱くてはいけない。

何より、みんなに本当の私を、強くない私を知られて

幻滅されるのが怖くて


また完璧を演じる。




今だって

会いたくなかったとか言っても

やっぱり嫌われたくなくて

つい答えてしまった。

/ 50ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp