第7章 強くなんか、ないよ。
目が覚めるような明るい色の髪に
整った顔立ち
それに片耳につけられたピアス。
私、この人を知ってる。
一年前よりわずかに身長が伸びたかもしれない。
彼のことは覚えてる。
忘れられるもんか。
たった一夏だったけど、私のなかで一番キラキラと輝く思い出の中に、彼もいたんだもの。
「……涼太、くん?」
冷や汗が一筋、頬を流れた。
迂闊だった。
そういえば、涼太くんが進学したのは神奈川県の海常高校だったっけ。
事前にアインちゃんから聞いてたはずなのに、すっかり忘れてた。
…………会いたくなかった。
出来ることなら、
彼らには会いたくなかった。
会ったら
耐えられないと思ったから。
それに私は
彼らに会う資格が無い。
今すぐに
この場所から逃げ出してしまいたい衝動に駆られる。