第7章 強くなんか、ないよ。
海外にいるお父様はとても忙しい人。
とても日本に帰ってこれる余裕は、今は無いそうだ。
昔から、そんなお父様の代わりに私が、日本各地を回って簡単な仕事をすることはしばしばあった。
今日も生徒会が終わってから
自分専用のヘリコプターで神奈川に向かった。
…………………
無事仕事を終えて、ヘリを待たせているところまで、最近お気に入りの歌を口ずさんで歩いた。
しばらく日本から離れてたら、色々変わっててビックリした。
町並みも音楽も、一年でこんなに変わるんだ………
少しだけ、寂しい気がしないでもない。
人だって変わる。
さらさらロングヘアーだったアインちゃんがベリーショートになってたのは本当に驚いたもん。
「きっとまた君を好きになる」
お気に入りの歌のサビの部分を口にすると、少しテンションが上がる。
この歌詞みたいに、変わらない想い。
どんなことがあっても、変化しないものって素敵だと思う。
…………私だって、変わりたくなんか。
そう考えていた時、
「俺もその歌好きなんスよ!!」
後ろのほうから男の人の声がした。
あっ!
もしかして、この歌のことかな!?
共感してくれる人が現れたことが嬉しくて、勢いよく振り向いた。
…………………
私たちの間を風が吹き抜ける。
沈黙が一瞬、あたりを包んだ。