第6章 責任取って欲しいっス!
『きっとまた君を好きになる』
この曲の中でも、特にお気に入りのフレーズ。
「………っ!」
あまりにもナイスなタイミングで思考と曲がシンクロしたので、思わずビビる。
なんスかこの奇跡はっ!!
「心臓に悪いっスよ~…」
ブツブツ呟きながらイヤホンを外す。
その瞬間、さっきまで遮断されてた外の音が耳に入ってきた。
子供たちのはしゃぐ声、近所の噂話
犬の吠える音に、鳥の鳴き声
それから
「高鳴る鼓動に~染まる頬~♪」
風に乗る歌声。
「僕は忘れられない~あの笑顔を」
小さく、微かに聞こえるその透き通る声に耳を傾ける。
この歌は……
「きっとまた君を好きになる」
俺が好きなあの歌だ。
誰しも、好きなものに共感してくれる人が現れることは嬉しい。
「俺もその歌好きなんスよ!」
そう言いながら、声のする方
数メートル先の曲がり角を曲がった。
さらさらと風に揺れる髪
ふわりと香る、柔らかな匂い
小柄な体型に
凛とした佇まい
振り返ったその人物に
息が、止まるかと思った。
いや……実際止まった。
「………涼太、くん?」
驚いたように俺の名前を呼ぶ声は
一年前となにも変わっていない。