第6章 責任取って欲しいっス!
「撮影再開するぞ」
監督のその声でスタッフがみんな動き出した。
メイクさんも
「これからだったのに~」
と不満を言いながらも、撮影の準備を始めた。
た、助かった……
小さくホッと息を吐き出す。
もしあのまま、メイクさんに問い詰められてれば、ひなっちのことがどんどんバレていくところだったっス。
「黄瀬くん、次はこれに着替えてね」
スタッフさんから次の撮影の衣装を貰う。
「女の子たちが楽しみにしてるんだから、頑張ってね」
そう言って肩を小突かれた。
そんなスタッフさんの言葉に曖昧に笑ってから、考える。
自分で言うのもなんだけど、
俺はモテる。
黒子っちたちの学校に行ったときも、俺のサインを求めて女の子の長蛇の列ができたほど。
本来、女の子なんてよりどりみどりだ。
そんな俺が
同じ国に居るというだけで、こんなにも気持ちが舞い上がる。
仕事にも集中出来ない。
ねぇ、ひなっち
どうしてくれるんスか?
俺をこんなに夢中にさせた責任
ちゃんと取って欲しいっス
「黄瀬くん、準備はいいか?」
だから、とりあえず
「はい!!」
早く、会いたい