第6章 責任取って欲しいっス!
Side~黄瀬涼太~
辺りにカメラのシャッターをきる音が響く。
スポットライトを浴びながら、次々にポーズを変えていく俺。
只今撮影の真っ最中。
いつもカメラマンから要求されたことにパーフェクトに応える。
本業じゃないとはいえ仕事は仕事。
私情は挟まない。
今まで、ずっとそうやってきた。
なのに……………
うっわ……ヤバい、これ。
黒子っちから電話があってから、ずっと顔が緩みっぱなし。
私情は挟まないがモットーだったのに、これじゃプロ失格っスよ…。
そう自分に言い聞かせ、気を引き締めようとするけれど
『ひなこさんが帰ってきたんです』
無理だった。
ひなっちが日本にいる。
それだけでにやけが止まらない。
「黄瀬くん、今日はいつもと雰囲気違うね」
メイクさんにそう言われるのも、無理のない話だ。
「なんか良いことでもあった?」
「………わかるっスか」
「丸わかり。で、なにがあったの?」
にやにや顔のメイクさんが問い詰めてくる。
「……す……。大切な子が、帰ってきたみたいなんス」
「へ~大切な子、ねぇ?」
明らかに楽しんでいるメイクさんに、素直に言ってしまったことを後悔した。