第4章 噂の女の子
俺はうらめしそうな目で黒子を見て、
「じゃあなんでその子だけ名前呼びなんだよ」
不機嫌さをあらわにしたまま聞いた。
何とも思ってないなら、紛らわしいマネすんなよな!
だけど、
次の黒子の反応は予想に反するものだった。
黒子は
一瞬驚いたように目を見開き、
「えぇっと……」
動揺したようにしばらく瞳を泳がせる。
「そ、れは……ですね、」
うつむきながら歯切れの悪い言葉を紡いで、
決心したように顔を上げた後、
少し頬を染めて
「ひなこさんは特別だからです」
顔を緩ませながら言った。
この黒子を見ていたら、俺はさらに深く追求したよ。
だけど、テンションが落ちてすっかり興味の失せた俺は、この変化を見逃していた。