第9章 大きく羽ばたくまで
かまくらの中で餅を焼き、しるこを食べるのは面白そうだと思ったんだろう。
「やろうやろう!」
と、外ではしゃいでいるときゅうっと雛鳥の腹から音が鳴った。
「ハハハ、聞いてるだけで腹空かせるとは
さすがだな!」
子猫が雛鳥をからかった。
言われた雛鳥はムッとしている。
「やすー(安定)!いちごー!なんせん、おやついらないって言ってるよー!」
と叫んだ。
「は!?いや…俺もたべるにゃ!?」
少し前から思っていたがこの2人はまるで兄妹みたいなやりとりをしているなと思う。
その場の空気がほっこりとした。
「はいはい、南泉はなしと」
安定も冗談交じりに、子猫をからかった。
加州が倉から七輪を取り出し、私が炭に火を灯す。
パチパチと音を立て炭がほんのり赤くなってきたら、さっさとかまくらの中に入れた。
「ほわぁ〜あったか〜。」
かまくらの中でソワソワしていた雛鳥の表情が緩む。
「これであとは餅を焼いたら膨らむだろう。」
雛鳥は早くおやつにしようと騒いだ。
「はいはい。今持っていくから。」
大和守安定が笑いながら餅をいくつか七輪の上に置く。