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山鳥と雛鳥

第9章 大きく羽ばたくまで


子鼠は次第に息が荒くなる。

「はむちゃん!?…はむちゃん、苦しいの?」

「……雛鳥よ…優しく、撫でて送ってやろう。
今、空へ還る準備をしているんだ。
感謝や大好きだと伝えてやったらどうだ?」

「さんちょうもう…。」

雛鳥の瞳から涙があふれていく。

「は…むちゃん、はむ…ちゃん、
いつも遊んでくれてありがとう。
あん…まり…お世話、出来な…かった…のに
会いに、来て、うれ、うれし…かった。
あ、ありがと…う。だい、す…大好きだよ。」

言い終わらないうちに、子鼠は静かに眠りについた。
その寝顔はとても、安らかで優しい顔をしていた。

動かなくなった子鼠を抱きながら、雛鳥はわんわん泣き叫んだ。私は雛鳥の肩を抱きしめ、泣き止むことを待つしか出来ない。

今はそれしか出来ないから。

私は自分が思っていたよりも無力だと痛感した。

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