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山鳥と雛鳥

第8章 それが初恋というのか



「雛鳥はどこまで、できるようになったんだい?」

「ひらがなは読めるよ!
あとは、書く練習かなぁ?」

そう言って、筆記帳を開いた。

そこにはたくさん練習しているのだろう。
同じ羅列がびっしり書かれている。

「励んでいるんだな。いい事だ。」

雛鳥は頷き、文字の練習を始めた。
私は娯楽小説を読みながら、雛鳥を見ていたが私はふと気になったことが出来る。

「雛鳥、ひたすら練習するのはいいが…
それは覚えているのかい?」

「……分かんない。
ただ、練習したら分かるかもってパパが言ってたから。」

「そうか…。」

雛鳥は自信なさげに筆記帳を眺めた。

「……雛鳥よ。手紙を書いてみてはどうだい?」

「おてがみ?」

「あぁ、誰かに伝えたいことを考えて書くんだ。
それかよく私に聞かせてくれる物語をそれに書いて、誰かに読ませるとか。」

雛鳥はうーんと考えた。
5歳児にはちょっとばかり難しいかな?と思ったが、雛鳥は私が見縊るほど子どもではなかった。

「おてがみ、みんなに書いてみようかな!」

急に雛鳥の目が輝く。

「そうかい、それじゃあ。」

と言って私は報告書などに使っている紙を、小さく切り何枚か渡した。

「これは?」

「報告書の紙が余ってたのでね。
大事な手紙だ。たいそうな紙にするとより良いだろう。」

「さんちょうもう!ありがとう!」

雛鳥は早速、誰に手紙を書こうかなと考えた。

「そしたら、最初はいちご!」


「一期かぁ。私がいない時、いつも一緒にいてくれているもんな。」

雛鳥は早速、一期に一言の手紙を書く。
分からない字はひらがなが並べられた表を見て書いている。
どうしても形が分からない字は1度3回練習書きしてから、手紙に綴ってもらった。

『いちご
いつもあそんでくれてありがとう』

濁点の法則を理解しているのには正直私も驚いた。
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