第6章 雛鳥は分かっている
私は乱に任せた後、自室で書物を眺める。
「さんちょうもう?終わったよ?」
「あぁ。雛鳥よ、さっぱりしたかい?」
「うん。」
雛鳥は、私の隣に座った。
「何よんでいるの?」
「ん?あぁいわゆる新聞だ。」
「へぇ・・・」
少し元気がないように思える。
やはり、お泊りというのはさびしいと思うのだろうか。
「雛鳥よ、元気がないがどうかしたのかい?
やはり家族が恋しいのかい?」
雛鳥は静かにうなづく。
「うん、ちょっとだけ寂しい。」
「そうか…。」
どう接していいかわからなかった。
少しずつ大きく巣立ちに向けて成長しているがやはりまだ雛である。
そんなことを思っているとカラカラと音が鳴った。
「何の音?」
雛鳥はふと音のなる方を見た。
「あぁ、子鼠が回し車を回しているのだろう。」
雛鳥は子鼠の方へ四つん這いになって向かった。
「ホントだ、すごい元気に走ってる。」
私も後ろから様子をながめた。
懸命に走っているが回し車の勢いに追いつかなかったりすると、ずるりと滑り落ちて転けたりしている。
「出してやったらどうだ?」
「いいの?」
「あぁ。」
雛鳥は子鼠を籠から出して部屋で歩かせた。