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山鳥と雛鳥

第6章 雛鳥は分かっている



「かしゅー!おかわりー!」

雛鳥の雑穀米好きというのは伊達ではなく、その勢いは周りを驚かせた。

「うわ!?もう3杯目だぞ!!
まぁ、そうなること予想して少なめには盛ってたけど…」

「雑穀米が好きだなんて、本当に雛鳥だね。」

安定の言葉にその場が和んだ。
私も彼らを見守りながら食を進める。

「あれ?でも娘さん、あんまりおかず進んでないよ?」

堀川に指摘され分かりやすく元気が無くなる。

「………。」

「ねぇ、もしかしてキノコ苦手かな?」


乱に聞かれ雛鳥はぷいっとそっぽを向く。

「キノコ、あんまり食べたくない…。」

キノコと鮭の包み焼き。
キノコが散りばめられていて私としては美味しいのだが、雛鳥はその食感が苦手だと呟く。

「うーん、困ったなぁ…。お米ばかり食べるのは栄養バランスが…。」

「でも、味噌汁は飲み干してるんだよな。」

確かに、味噌汁は空である。
きっと噛まずに飲み込んだのだろう。

「……雛鳥。ほら、口開けて。」

口を一文字に閉じ、じっとその食物を見つめる。

「では、私が食べてもいいかな?」

私がそう言うといやいや、口をゆっくり開けた。

「ダメなら吐き出しても仕方ない。」

ゆっくりだが確実に口に入ると、雛鳥はむぐむぐと咀嚼する。
目を瞑り、ごくっと音を立てて飲み込んだ。

「おぉ、よくやったな!」

私が褒めて、頭を撫でると茶を一気に飲む。
味を誤魔化しているのだろうか。
そして目をつぶり、覚悟を決めたように口を開ける。

「あれ、山鳥毛さんに褒めてもらいたくて頑張ってる?」

「…だと思う。」

加州と安定がコソッと話しているのが聞こえた。
なんとか、きのこを食べ終えるとそれから雛鳥は綺麗に完食した。
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