第3章 自分の娘のような
すぐにてんとう虫は、小さな羽を広げどこか遠くへ飛んで行こうと羽ばたいた。
「あ!いっちゃった…」
てんとう虫が飛んでいく空を見たあと、何も無くなった手のひらを寂しそうに雛鳥は見ていた。
後から来た一期一振に、悲しそうな表情を見せた。
「てんとう虫、どっか行っちゃった…。」
一期一振に申し訳ないと言うよりはいなくなってしまった悲しい事実を報告してるという言い方。
一期一振は優しく雛鳥の頭を撫でた。
「そうですか。それは残念です…
でもきっとまた帰って来ると思いますよ。
その時にはまた、てんとう虫に挨拶しましょう?」
雛鳥は、納得いかないという表情をしていたが静かにこくこくとうなづいた。
「そういえば、パパはいつになったらけっこんしてくれるの?」
脈絡もなく言い出すのはやはり子どもだなと私は微笑ましくて笑った。
「んぁ?あーチビが小学生になってからだな。
保育園行かなくなったらな。」
少しほろ酔いになったのかイタズラに小鳥はニヤニヤ笑っていた。
「じゃあ、すぐに保育園いくのやめて小学校いく!」
「ハハハ、期待してるぜ。パパと結婚できなかったら誰と結婚するんだか。」
後半は独り言のつもりだったのだろう。
「パパがダメならさんちょーもーかいちご!」
私は驚き口に含んだばかりの酒を器官に入れてしまったのか少し噎せた。