第12章 君を想うがため
春の陽気が近づいてきてる3月下旬。
高校生活を円滑にするために、お父さんの妹さん夫婦の所へ行くことが決まった。
幸いすごく遠い訳でもないので電車を使えば学校に行ける。
引越し作業も住所変更やらも終わらせた次の日の夜だった。ここを離れるのは3日後。納得いかないまま季節は変わっていく。
お父さんから山鳥毛は現世にやってくるのでその時にでも会いなさいと、待ち合わせ時間と場所を教えてもらった。
「ありがとう。ちゃんとさよならするよ。
あぁ、そうだ。これ手紙。みんなに渡しといて。」
お父さんは手紙を受け取るとまた部屋を出て行った。
物心ついた時から傍にいた人達。
寂しくて悲しくてあまりにも突然だったから、さよならと言いたかった。
ありがとうを伝えたかった。
それと一つ、山鳥毛にあげたいものがあった。
手作りだけど思いを込めたお守り。
こんなのあげても会えなくなったら意味無いとか言われそうだけど、どうしても元気でいて欲しいから。
お守りは神社にて祈りを込めた。
布は彼の目の色の赤。
本格的なしっかりしたお守りじゃないから効果は分からない。
というか、そもそも付喪神にお守りって意味あるのかな?
刀剣守りと気持ちばかりのお守りをもって出かけた。