第12章 君を想うがため
会えば会うほど、愛おしくなる。
あの声で私の名を呼び、あの笑顔を見せられると…
自我が強くなってしまうかもしれない。
忘れられた方がいい…
「てめぇ…!」
加州が私の胸ぐらを掴もうとするのを小鳥が一喝した。
「山鳥毛を責めるのは俺が許さねぇ。
とにかく決まったことだ。いいな。」
小鳥の言葉は重く暗かった。
「加州、こんのすけ。席を外してくれ。
山鳥毛と2人で話をしたい。」
加州は腑に落ちないと言った面持ちできつねと共に執務室を後にした。
「話とは。」
「分かっているんだろ。」
「さぁ。」
「じゃあ言わせてもらう。
アイツに惚れてたんだろ。」
私の瞼がピクっと動いた。しかし、私は冷静を保つことを努める。
「なぜだい?」
小鳥は深く、息を吐いた。
「気になってたんだ。
俺だって伊達に警察やってねぇからな。
それなりの観察力だって無いわけじゃねぇ。
アイツに会わなくて済むとまではいかねぇが、どこかほっとしている気がしたんだ。
あんだけ可愛がってたのに、俺の部下だからってあっさりしすぎてんだよ。」
「…………さすが、小鳥だな。」
「…いいのか?」
「小鳥よ。いいんだ。雛鳥の人生を私たちが邪魔するべきではない。」
そう、勝手なことをして雛鳥を危ない目に遭わせるくらいなら忘れてくれてた方がいい。