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山鳥と雛鳥

第12章 君を想うがため


検非違使がまた任務に行かせた刀剣男士及び同行していた審神者の息の根を止めた。
ここ最近、増えてきていると小鳥は言っていた。

「俺たちも、うかうかしてられないな…。
いつ襲われてもいいように警戒しねぇと。」

「そうだな…。」

その矢先。雛鳥の母であり小鳥の番が病で亡くなったと聞いた。

雪がよく降る夜だった。

小鳥は難しい顔をしながらこの巣(本丸)へ来ると私と加州を呼び出した。
話の中にはあの「こんのすけ」とかいうきつねもいる。

「どうかしたのかい?主?」

「加州、山鳥毛。担当直入に言う。
もう、あいつはここに来ない。ここでの記憶も政府に容認され消していいことになった。」

「……!?」

「主?何言ってんの?そんな勝手に。」

加州の声が震えている。

「分かっている。だから承認を得た。
歴史は変わらない。生活が変わるだけ。
昨今の歴史修正主義者との戦いも激しくなっているから、巻き込みたくない。
ここのことを覚えていたら、関わるだろう?
娘を俺は守りたいんだって。
そしたら、連中は禁忌だが特例として許してくれた。
時が経てば幼少期の記憶なんて曖昧になる。
そんな感じで忘れたことすら忘れるだろうって。」

私と加州は黙って聞いてた。

「………。」

「山鳥毛はいいのかよ?」

加州は私に訊ねてきた。

「なにが。」

「あいつが、自分のことを忘れるんだぞ。
思い出も何もかも。」

「私は小鳥の眷属。小鳥の意志に従うまでだ。
雛鳥の眷属ではない。」

私は心のどこかでほっとしていたのかもしれない。
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