第12章 君を想うがため
高校生になる前の3月下旬。
お父さんは私に親戚の所へ行きなさいと言い出した。
「え?でもお父さんそれって…」
「本丸にも、もう来てはいけない。」
「え…なんで?」
「………なんでもだ。お前にはもう自分の人生を歩んで欲しいんだ。
本丸ではなく、現世で。」
私はその後、お父さんとなにを話したか分からない。
ただ、自分の人生もちゃんと決められるし親戚の家に行きたくない。とも言ってた気がする。
でもお父さんの表情を見て分かった。
変わるしかないんだと。
「本丸の仕事も今後激務になるし、こっちでの仕事も知っているだろ?」
「警察…」
「端くれの窓際族とは言え、命懸けになるのも事実。
父として、守りたいんだ。」
「でも、みんなは?みんなは……なんて。」
山鳥毛は?とも聞きたかったけど怖くて聞けなかった。
でもお父さんは分かっていたみたい。
「…………。私が決めたことだからそれに従う。
俺の近侍はそう言った。」
「……そっか。分かった。
じゃあせめて、最後に会いに行く機会ほしい。」
「……考えとくよ。」
お父さんはそう言うと寝室へと入っていった。