第7章 シルバーブレット
「“身分を偽る”ですか...」
『はい。私はその描写の所まで見ていないですが、赤井さんと真純ちゃんは兄妹みたいですね。それと、赤井さんが生きているのも知っています』
「へェ...」
『死を偽造した為に、それ以降は沖矢昴として生活しているんですよね?組織に見つからないように』
少しずつ核心に迫っていってるのに
沖矢さんときたら...かなり余裕そうで
真純ちゃんの話も私の話も違うからこその余裕なのか
それとも...当ててくれと言わんばかりにその態度なのか...
赤井秀一ってそういう人だったっけ?
まあいい。
『つまり 貴方こそが赤井秀一さん、なのではないですか?』
もう待てなくて、早く結論を知りたくて
遂に言ってしまった。
「ホォ...」
満足気に口元を小さく綻ばせながら、首元のチョーカーへ左手を運ばせる姿は
真純ちゃんの言っていた事含め、自分の考えへの答え合わせの様で。
少しの安堵に包まれる。
「よく解ったな、みなみ」
『う...そ...』
分かっていた筈なのに...
いざ、そう認めた本人を前にするとやっぱり驚いてしまって
変声機で声を戻し、私を感心する彼の声は落ち着いていて、深みがあって
どこか優しさも感じられて...
会話出来ている事実が嘘みたいで。
「嘘では無い」
そう言って顔の下から変装マスクを外すと、やっと赤井秀一に出逢えて。