第6章 貴方って
ボウヤに了承を得た工藤さんの家へ。
『あの、此処って...もしかして』
「えぇ、よくご存知で。みなみさんと大事な話をするなら、此処が良いかと」
すぐ側にはやっぱり工藤邸が見えてきて。
その隣には阿笠博士の家もある
この世界に来てこっち方面に来た事は無かった
何故かは分からないけど。
こんな時に思う事では無いけど、あの何度も見た工藤邸と阿笠博士の家を生で見ると少し興奮する...
勿論それは面には出さないけれど。
近くにある駐車場に駐車して工藤邸へ。
『お邪魔します...』
中へお邪魔すると、落ち着いた石鹸とフローラル系の華やかな香りの混ざったルームフレグランスに包まれる
けど何処か煙草のような香りもするのはきっと沖矢さんだろう。
流石は邸と付くだけあって、中は広くて大きい...
スリッパを用意され、リビングへ案内される。
沖矢さんと向かい合わせになる様にソファに座る。
「それで、お話とは何でしょう?」
ここまで改められると少し切り出しずらいのもある
『あの、沖矢さんは世良真純ちゃんをご存知ですか?』
やはりそうだった。
あの時真純が俺について聞いたのだろう
となるとこいつと居る所を何処かで真純に見られていたのか。
「えぇ、あの女子高生探偵とやらの...」
『沖矢さんはきっと、真純ちゃんともっと深い関係ですよね?』
早く結論を言いたい気持ちも分かるけど、確定では無いし
そのまま“赤井秀一ですか?”なんて聞ける訳も無い
「深い...ですか。それはどうでしょうね」
『では、沖矢さんは首に付けている物はなんですか?何時も首を隠れる服を着ているのは、見られてはいけない何かがあるからじゃないんですか?』
「ホォ... と言うと?」
今すぐにも言いたい所だが、何処まで突き詰められるか
みなみには悪いが少々楽しませて貰おう
『沖矢さんは工藤邸にやってきてから阿笠博士の家を監視みたいな事してますよね?』
「監視 ですか...」
『つまり、貴方は身分を偽らなければいけない理由があり、変装をして声を変えなければなりません。そんな凄い物を作れるのは阿笠博士なんじゃないですか?』