第6章 貴方って
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「あら、難しい顔して。どうしたの?」
「なあ、お前量子学とかって詳しいか?」
「量子力学は…少し齧ったぐらいかしら。それがどうかしたの?」
「いや、」
「名探偵さんが悩むなんて、余程の事ね。何なのか教えなさいよ」
「別の世界から来た人間って存在すると思うか?」
「何それ」
「わ、笑うんじゃねえよ…この世界を知る人間に出会ったんだよ」
「どうせ偶然か何かじゃないの?そんなの知る人間が居るなら、会ってみたいわね」
「この間の女の人だよ」
「あの人が?貴方の正体も知っていたの?」
「ああ。だからお前の事も知ってると思うぜ」
「まさか…! でも、組織であの女性を見た事は無いわ」
「戸籍丸ごと存在してなかったんだ、記憶喪失でも無えみたいだしな。となると…そう考えざるおえないんだよ」
「確かに彼女からそういう気配は感じなかったわ。もしそうなら興味深いわね」
「えっ、お前…」
「何よ、科学者として興味を持つのは悪い事じゃないわ」
「オメー...変わったな」