第1章 おわり
「あ、悪ぃ。お前らは先帰っててくれ!」
あの女は何なんだ?
さっきから虚ろな目でこの辺りをずっとフラフラしてやがる
何も手に持っていない様だし、周りの人間も不思議そうに見ている。
怪しいから女の所まで行くと
クソ、見失ったじゃねえかよ。何処に居んだ?
見渡すとコンビニから更に憔悴した様子で女が出てきて傍のベンチに座った。
よし、今がチャンスだな。
「ねえねえ、おねーさん」
何だよ無視かよ
「おねーーさん!」
こいつ…大丈夫なのか?
「ねえおねーさんってば!」
やっと顔を上げたこの女。
『コナン…く…』
おいおい、なんなんだよこの女は!
何故俺の事を知っているんだ?
いや、知っていてもおかしくはないがこの動揺具合はただもんじゃねえぞ。
こいつは組織の女か?
記憶喪失になっているのか?
何方にせよこの様子じゃ逃げられねえだろうな
やっぱり。俺を見るなり驚いて走り出したと思えば倒れたこの女。
油断は出来ねえ。一応あの人に連絡しとかねえと
救急車が来るまでこの女を見張っておくべきなのか?
けど もしも組織の人間だとしたら…
「あら、考えすぎよ」
「は、灰原?お前…帰ったんじゃねえのかよ」
「どうせ貴方の事だから、この女性に目を付けていたのかと思って。確かに怪しいわね」
「ああ。それに、俺を見て逃げるように走り出したんだ。組織の女の可能性も0では無え」
「記憶喪失でも無い限り有り得ないわね。外傷も無いみたいだし」
「だと良いんだけどよ」
確かに灰原の言う通りだが、あの違和感は一体なんなんだ?
まるで…俺の全てを知っているかのような。
とりあえずあの人に連絡したら救急車に同行しろって。
ったく。
お前が何者か暴いてやる