第5章 交差
スマホを見るタイミングがありそうで無くて、通知は普段から切る派だからどうなっているかは分からず…
だけど確認する事も出来ず、部屋の前に到着。
綺麗で広く、大きな窓からは夜の横浜が一望できる部屋で
『わ〜!凄い 綺麗…』
つい子供のようにはしゃいでしまって少し恥ずかしい
「みなみさんに喜んで頂けるかと思って」
振り向けば笑顔の安室さんが居て
『ありがとうございます、安室さん』
何だか安心した。
安室さんとのデートが楽しくて、自分の事を話したら何かが終わってしまう気がして。
このまま話さなくても良いかなって思ったりもしたけど、安室さんの事だし多分私が部屋に入るまで見送ってくる筈
そうなると話さない訳にはいかないんだよね。
『安室さん』
笑顔だった筈のみなみさんは何やら深刻そうな顔に変わっていて
「みなみさん、どうかしましたか?」
『あの、私…安室さんに話さなきゃいけない事があって…』
なるほど。それが僕の知りたい事なら嬉しいが。
「へえ、それは一体どんなお話何ですか?」
今の安室さんは…安室さんじゃなくて、どちらかと言うと降谷零の顔だった。
窓から離れ、テーブルに移動してお互いに向かい合って座る。
『私がこれから話す事と安室さんの知りたい事は一致すると思います』
どう話そうかちゃんと考えないまま口を開けば、軽い微笑を右の頬だけに浮かべる安室さん。
「そうですか。では、貴女の口からお聞かせください」
そのまま、沖矢さんにも話した様に同じ事を安室さんにも話した。
コナン君の正体と赤井さんが好きだった事は話さず、今はコナン君の周りの人に助けて貰ってホテルに住んでいるという風にも話した。
勿論安室さんについても。
話終えると、目を目開いている安室さん。
直ぐに元の表情に戻って今度は難しそうな顔をしている。
そうなるのも当然だろう
こんなの有り得ないんだから…
でも、外部の人間が知るはずもない事も話した訳だし…