第5章 交差
相変わらず安室さんは素直に嬉しい事を言ってくれる。
『安室さんだって、凄く…かっこいいです…』
あの安室さんを目の前にして褒めるのは案外勇気のいる事なんだと分かった
「それはみなみさんに相応しい男 という風に捉えますよ?」
向かいに座っていた安室さんが隣に来て、今度は指を絡み合わせて繋ぐ。
安室さんの大きな手と長い指がさっきよりも伝わってきて、またドキッとしちゃって。分かってるけど安室さんも男の人なんだなって。
『安室さんは私なんかじゃ勿体ないですよ、こんなに素敵な男性なんですから』
絡み合わせてる指を少し強く握ると握り返してくれて
「そんな事ない。みなみさんは今でも十分素敵だ」
ライトアップされた観覧車の光に照らされ優しい目をした安室さんの瞳の奥に惹き込まれていく様で。
必然的に唇が重なった。
直ぐに離れようとしても顎を掴まれてまた重なれば、拒む事もせずに更に湿ったキスに変わっていった。
唇が離れると直ぐに我に戻って
『ご、ごめんなさい…』
「どうして謝るんです?僕もみなみさんも同じ思いだったからこうなったんです。そうでしょう?」
『確かに…そうですね』
「はい」
安室さんのお陰で一切気まずくなる事もなく、その後はまた他愛も無いことを話したら下まで戻ってきて観覧車を降りた。
「みなみさん、そろそろお腹が空いてきませんか?ホテルのディナーを予約してありますので」
そんな事までしてくれてたなんて、いつの間に…?
本当にデートすぎて嬉しい。
景色と共に安室さんとのディナーを楽しんで、そのままとってあるホテルの部屋へ。