第5章 交差
そのまま周辺を歩きながら海を見て他愛も無い事を話したりするとあっという間に夕焼けが見えてきて、全然大丈夫なのに私がヒールの事を気遣ってくれて車に戻った。
「みなみさんと一緒に居ると時間があっという間に過ぎてしまうんですね」
『私も…同じ事思ってました』
「それは嬉しいです。でも、まだ終わりでは無いですよ?」
安室さんのその言葉が嬉しいけれど、安室さんと楽しんでいればいる程それと同時に沖矢さんの顔が頭に過ぎって。
そこから車を走らせ
夕陽に照らされながら見る風景は凄く心に来るものがあって、横を見るとかっこいい安室さんが居て、手も繋いだままだし凄く幸せを感じる…
私こんなに良い思いばかりして良いのかな…
幸せを感じれば感じる程、現実世界でもよくあったあの嫌な感情に押し寄せられるのが辛い。
東京を抜け、今度はみなとみらいへ来た。
どうしてこんなに私が好きな場所ばかり…流石安室さんだね
『私みなとみらいも凄く好きなんです!本当にありがとうございます』
「そうなんですね!またみなみさんの好きな場所に僕もご一緒できて良かったです」
車を降りて、赤レンガ倉庫を見たり他にも歩いて周ったりしてたら夕陽は沈み辺りは暗くなっていた。
沖矢さんの時よりもデートっぽい、いやデートをしていて
傍から見たら私達って普通のカップルに見えてるんだよね…
そう考えると、沖矢さんとの記憶がまた鮮明に脳裏に蘇ってきて
凄く会いたい。
でも沖矢さんは私をそんな風に思っている訳無いし
一人で勝手に沖矢さんを思っている事実に悲しくもなり。
「みなみさん、どうかしましたか?大丈夫ですか?」
嬉しそうな顔をしていると思えば、今は何だか悲しそうと言うか切ない顔をして。赤井の事でも思っているのか?
『あ、はい!ごめんなさい…つい』
別の事で頭がいっぱいになっていた。
それに安室さんにもときめいてる癖に沖矢さんの事も恋しくなってる
折角みなとみらいが一望できる大観覧車に乗ってるんだし、今は安室さんと居るんだから楽しまないとだよね
いけないのは分かってるけれど…
『綺麗な景色ですね〜!』
「ですね、みなみさんに負けないくらいに」