第5章 交差
まあ良い。どのみちみなみさんが何か隠している事は間違いない
先ずは僕の国に居る以上は貴女について知る権利がある。
午前中用事のあったマスターとシフトの交代をして、着替えて裏口から車を表まで走らせ、そのまま正面からみなみさんの所へ。
丁寧に巻かれた黒い髪の毛にあの時同様、体のラインだけは綺麗に残る上品なレースのワンピースを纏った後ろ姿のみなみさんの名前を呼べば
振り向き、僕を見て微笑む貴女は…
今の仕事上、女性には慣れてる筈なのに みなみさんには安室でもバーボンでも無い。僕自身として、貴女が気になる。
だがこの感情はきっとこの先にとって不利かもしれない、仕舞っておくとしよう
「みなみさん、お待たせしました」
・
『安室さん、いつの間にそっちへ?!』
「裏から車を持ってきました。さあ、行きましょうかみなみさん」
本当にいつの間にか車があるし…
そのまま安室さんに手を引かれ。
これが、映画でよく見たあのRX-7…
助手席のドアを開けられついに車内へ。『おじゃましまーす』
乗り心地抜群だ…勿論沖矢さんの車もそうだったけど、安室さんの車はかっこいいなあ
隣にはそんな安室さんが居て…車を走らせる。
狭い空間で二人きり。やばい、緊張してきた…
「みなみさん、今日は突然だったのにありがとうございます」
『いえ!安室さんにお誘い頂けて嬉しかったです』
「本当に何も無いんですか?その、今日は凄く素敵な格好をしていらしたので」
『ありがとうございます。何も無いですよ、ただ新しい洋服を着てみたくて…安室さんに褒めて頂けて嬉しいです』
「それは僕も嬉しいです。まるで恋人同士の様なデートみたいで…あ、これを言ってしまうと貴女の沖矢さんに怒られちゃいますかね」
自然な流れであっさりぶっ込んできてびっくりした…
『私のだなんて!沖矢さんとは何も無いですよ…ただの友人です』
そう言うと沖矢さんとのキスが蘇る。
「へえ…“友人”ですか。にしてはかなり仲の良さそうに見えましたが…」
『そう…ですかね?』
「ええ。彼とは何処で出会ったのですか?」
『大学院です、まあ…私は辞めてしまったのですが…』
やばい、大学院だった設定は少し無理があったかな…
この質問攻めを終わらす為にも私からも…