第5章 交差
沖矢さんとの事を考えながら眠っていたみたいで、目を覚ませばカーテンからは光が差し込んでいる。
『ん、寝ちゃった…』
普段よりも寝すぎたみたいでもう10時半になっていた。
とりあえずシャワーを浴び終えてスマホを確認すると沖矢さんからメッセージが届いていて、今日は学会で米花町を離れるから外出の際は近場でも連絡をする様に、そして気をつける様に。と言う内容だった。
そんな事でも態々連絡を来れる事が嬉しくて画面を見ながら笑みがこぼれた
さて、今日は何をしよう?
米花町にはまだ知らない場所はいっぱいあるし、また散歩でもするか?
でも正直散歩の気分では無いというか…
そういえば安室さんとはあれきりだったな
私の事を怪しんでる上での行動とは言え、ちゃんとお礼も出来てなかった。
沖矢さんとの間に既に何かあるのは私にでも分かったけど、急に現れた私によって更に悪化したりとかってなったら…
近付かない方が良いのかなって思ったりもするけれど…彼は公安な訳だし私の事も既に調べてるでしょ?出てくる筈無いのに…
これ以上怪しまれない為にもやっぱり顔を出すべきだと思った。
それに今日沖矢さんは米花町に居ないみたいだし、悪いけど連絡はしないで黙っておこう…
そうと決まればヘアメイクを済まし、昨日買った衣類達の入ってるクローゼットを開けるとやっぱ目に付くのは…
沖矢さんがプレゼントしてくれた、レースタイプのマーメイドワンピース。
色は落ち着いたピンクベージュで沖矢さんの髪色に少し似てる
あの黒のワンピース程では無いけどこれもそこそこ体のラインは出る…
沖矢さんはこういうのが好きなのかな?
結局プレゼントされたワンピースと白のアンクルストラップのサンダルに決めた。
鏡の前で全身を確認すると何だか沖矢さんに包まれてるみたいで嬉しい
『よし、行こう』
バッグを持ってポアロへ